自然・歴史

ラベンダーの歴史

ラベンダーは今では夏の北海道を象徴する観光作物ですが、かつては特用農作物として、道内において広い面積で農作物として栽培されていました。今は観光や観賞用・ラベンダー製品原材料として、ここ上富良野町をはじめ富良野地方で主に栽培されています。

上富良野町は国内における「ラベンダーの町」として、栽培の継続とラベンダーの利用・観光としてのラベンダー園のPRなどを行っています。

ラベンダーとは?

ラベンダーは地中海沿岸原産のシソ科の常緑性低木で多年生植物です。学名はラヴァンデュラ(Lavandula)語源は、ラテン語の洗う(lavo)に由来すると言われています。

栽培地は、フランスの南プロバンス地方をはじめとして、地中海沿岸地方・オーストラリアのタスマニア島・ニュージーランド・カナリア諸島・インド・南米チリ・アルゼンチン・カナダ・中国・イギリスなど世界各地で栽培されています。国内では、上富良野町をはじめ富良野地方が主な栽培地ですが、日本各地においてもラベンダー園としてまたハーブ園の中の代表的な植物として栽培されています。

ラベンダーの由来

昭和12年、曽田香料株式会社がフランスのアントワン・ヴィアル社からラベンダーの種子5kgを入手し、これを千葉・岡山・北海道の各農事試験場と曽田香料札幌工場で試験栽培を行いました。フランスが特産と考えられていたラベンダーが、日本では北海道が生育の適地とわかり、札幌市郊外南の沢と岩内郡発足村(共和町)で栽培、蒸留が始まります。その後、第二次世界大戦が始まり、食糧増産の至上命令により転作を余儀無くされましたが、優良品種の選抜保存を最小限行い終戦後栽培を再開したのです。

 

上富良野町とラベンダーというつながりの発端は、雑誌「農業朝日」の「香料作物ラベンダーは初夏の傾斜地にうすむらさきの花を開き、なかなか詩情に富んでいる作物」という記事、また「北海道新聞」の「ラベンダーは北海道に適地作物である」との記事を見た上富良野町東中の上田美一氏、太田晋太郎氏、岩崎不二男氏等が協議し、昭和22年曽田香料札幌の佐野工場長とラベンダー栽培について話合いを行い、昭和23年より委託栽培を始めたのが最初で、その後に北海道の奨励特用作物として全道に広まっていったのです。最盛期には、上富良野町での栽培面積85ヘクタール、全道では235ヘクタールにもなったといいます。

ラベンダーと観光

戦後、天然香料の輸入再開や化学技術の発展により合成香料が安く手に入るようになり、価格競争に勝てず、ラベンダー栽培面積は減少の一途をたどりました。上富良野町では最後まで香料会社との契約栽培が続きましたが、昭和52年に香料会社のラベンダー油の買取が打ち切られ、ラベンダーの農業作物としての生産は終わりとなったのです。

この頃、昭和51年国鉄のカレンダーで中富良野町北星のラベンダー畑が全国に紹介、また昭和52年には上富良野町東中のラベンダー畑が北海道新聞に掲載され、それ以来観光客が訪れるようになりました。町では、昭和54年に住吉ラベンダー園0.8ヘクタール植栽、昭和55年に日の出公園に1.5ヘクタール植栽、さらに昭和56年には町花「ラベンダー」の制定により、町内各団体は市街地内街路植樹枡や駅前、深山峠などにラベンダーを植栽して、ラベンダーの町かみふらののPRを始めました。

栽培していた農家もラベンダーの生き残りをかけて、観光客への土産や町外への販売の為、苗木の栽培・鉢植・切花・ドライフラワー・ポプリ(乾燥花蕾)などを生産。さらに民間のラベンダーを含めた花観光農園も増え現在に至っています。

ラベンダーの品種

ラベンダーの品種は『真正ラベンダー』、『スパイク・ラベンダー』、『ラバンジン』の3種類に大別され、ラバンジンは前二者の交雑による交配種と見なされています。現在日本で主に栽培されているのは、真正ラベンダーという品種です。

曽田香料が入手したラベンダーを種子から育てると、様々な性質を持った株が混在しました。この数多くの株ごとに挿し木で株数を増やし、収量や香料品質について比較検討しながら品種を選別固定する方法が取られ、道立農業試験場が系統比較試験を行って、最終的に栽培品種になったのは4品種。種苗に1号、2号、3号、4号の番号が付けられています。これらのことから、国内で主に栽培されているラベンダーは、品種改良ではなく栽培、収量、香料品質により選抜されたものと思われています。

 

1号【ようてい】

1号は品種名を「ようてい」といい、昭和39年に北海道の栽培奨励品種に指定されました。早咲きで育ちと花付きが早く、収量・品質共に優れているのですが、寒さに弱く、花色は赤みをおび紫がやや薄いもので、現在栽培面積は少なくなっています。

<特徴>

早咲き(7月初旬〜)、赤みのある色、化粧品の香料に使用

2号【はなもいわ】

2号は品種名を「はなもいわ」といい、昭和42年に北海道の栽培奨励品種に指定されました。遅咲きですが収量・品質共に優れており、一時期栽培の主流でした。花色はつぼみの部分が白いため開花しても全体に紫が薄く感じます。現在栽培面積は少なくなっています。

<特徴>

遅咲き(7月中旬〜)、薄い紫色、オイルが多く採れる

3号【こいむらさき】

3号は品種名を「早咲き2-3」または「濃紫早咲き3号」といい、和名が付けられていませんでしたが、現在観光協会では「こいむらさき」と愛称を付けています。栽培奨励品種からは外されていた品種で、極早咲き。茎と穂先は短いのですがつぼみが大きく、またつぼみのうちから紫色が濃くて開花直前が美しく、観賞用として近年栽培面積が増えています。

<特徴>

極早咲き(6月中旬〜)、濃い紫色、花穂が短い、観賞用

4号【おかむらさき】

4号は品種名を「おかむらさき」といい、昭和39年に北海道の栽培奨励品種に指定されました。中手咲きで収量は並。香料成分が多く、品質が優れているために栽培晩期の主流になっています。花色は濃く、茎も穂先も長いため、風にゆれる姿が美しいタイプ。 3号の「こいむらさき」は開花直前が美しいのに対して、「おかむらさき」は7分咲き頃から満開にかけてが美しく、観賞用としても主流として栽培しています。

<特徴>

遅咲き(7月中旬〜)、花色濃い、花穂が長い、質の高い化粧品の香料、観賞用

その他の品種

現在、全国的にラベンダーの栽培が広まっていますが、「おかむらさき」・「こいむらさき」の他に、シソ科のラベンダー属として約25種があり、葉や苞葉の形状により『スパイカラベンダー・グループ』、『フレンチラベンダー・グループ』、『ファーンラベンダー・グループ』の3グループに分けられています。 国内のハーブ園などでは、苗や種の輸入により色々な品種が栽培されていると思われます。

栽培、そして収穫

春に挿し木で育てられた苗が、1年物として翌年春から出荷されます。苗木は根元を乾かないようにしてそのまま出荷する方法と、ビニールポット・プラ鉢に入れて出荷する方法があります。鉢植か庭などに直接植える方法がありますが、鉢植は水や越冬期間の管理が難しく、枯らしてしまう場合がありますので、庭などに直接植えることをおすすめします。ここでは、庭などに直接植える場合について簡単に説明いたします。

 

ラベンダーは日当たりが良く、水はけの良い場所を好みます。湿気のある場所や梅雨の長い地域では、土を盛って水はけを良くして植えて下さい。苗木を手に入れたらすぐ植え、その間根元は乾かさないで下さい。最初に植える時だけたっぷり水を与え、その後は自然のままで周囲の草取りの管理くらいです。

株周りは年々大きくなりますので、成長を見ながら間引き移植すると良いでしょう。肥料は植える時は与えないで2年目から春先と秋口に株の周りに有機肥料か園芸用の配合肥料を少量与えて下さい。つぼみ(萼)が膨らんでくると紫色になりますが咲き始めではなく、このつぼみの先から小さな花びらが順次開いてきます。花びらは少し日数が経つと紫色のまま縮みますが、この間雨に当たれば茶色く縮んでしまいます。ただし、つぼみの部分は雨に当たっても紫色のままです。

 

ラベンダー油を取る場合は、花が満開になる前に刈り取るのですが、花の観賞だけの目的の場合は、花が終えてからでも良いでしょう。ドライフラワーやポプリ(乾燥花つぼみ)として利用する場合「こいむらさき」は開花が始まった時、「おかむらさき」は八部咲きくらいが適時となります。

 

刈り取り方は、新しく伸びた茎を少し残し残る株のほう全体が緑色であればベスト。1年目、2年目は無理かもしれませんが、株全体を丸く刈るような形にします。このため、茎によっては刈り過ぎや刈り足りないなどあると思われますが、形は整えた方が見た目も良いでしょう。刈り取りは単に収穫の為だけでなく、枝の分岐を進めて翌年の枝数を増やし、株周りも大きくする―生育のため必ず行う必要があるのです。

刈り取った花は、小束にし茎元をしばり、花を下にして、風通しの良い場所でつるして陰干しにしてドライフラワーを作りましょう。仕上げた物をそのままドライフラワーとして飾るほかにも、作業中落ちたつぼみや、ドライフラワーにした後、茎からつぼみだけ取りポプリとしてグラスや小瓶に入れて部屋に置く。布に包んでタンスの引き出し・枕元や車の中に置く、さらにはお風呂に入れるなど様々に利用できます。

ちなみにラベンダーの切花は、水の吸い上げが悪く、一般的な生花のように水を入れた花瓶で飾るには長持ちしないので注意しましょう。

ラベンダーの効用

ラベンダーの香りは昔から鎮静効果と睡眠促進効果があると言われています。最近では、ラベンダー畑の紫色が風にそよぐ風景も、潜在的なイメージから香りの効果と共に心癒される花(ハーブ)と言えます。また、古くから殺菌・防虫効果もあると言われていて、観賞用だけでなく、ラベンダーの用途は実に幅広く利用されています。ハーブ関連の書籍やハーブショップ、インターネットなどで情報を得てお試し下さい。

ハーブの女王

日本国内で栽培されているラベンダーのほとんどは紫色ですが、近年では白色(よく見ると薄いピンク色)も栽培されています。同じ紫でも赤紫から青紫、白味かかった紫など色々ありますが、海外では、ホワイトやイエローなどもあるようです。種類も100種類以上あると言われます。このように種類も用途も非常に多いラベンダー。美しい花の女王が「ばら」であれば、用途の豊富なハーブ(香草)の女王は「ラベンダー」と言われる由縁かもしれません。

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